30頭離乳の育種

正確な育種価を予測するBLUP法

離乳頭数25頭以上の目標を達成するために、徹底的な疾病コントロールと飼養管理の改善を行う必要があることは言うまでもないが、ベースとして不可欠であるのが、その母豚の基礎能力、つまり遺伝的能力である。

疾病コントロール、飼養密度や温・湿度等の環境要因をいかに最適な状況にしても母豚の能力が不充分であれば、この目標をクリアすることは大変困難であると言える。

当社ではより遺伝的能力の高い種豚を供給販売するために様々な手法を用いて遺伝、育種改良を進めている。現在、BLUPを利用した従来の育種改良手法に加え、PIC社のDNAマーカー技術、PICmarqTM の利用、多産系品種を用いた雌系新ラインの開発等を進めている。血縁情報を利用したBLUP(最良線形不偏予測子)法は、より正確な育種価の予測が可能な手法である。当社を含めて世界PIC遣伝改良農場で利用されており、遺伝的評価のスタンダードになっている。PICの輸入ソースはもとより当社のGGPおよびGP生産にも活用されており、繁殖性を含めた各形質の改良が年々進んでいる。

既に実用化されているESRマーカー

PICmarqTMは、PIC社のDNAマーカーテスト技術の総称である。DNA(遺伝子)マーカーとは、重要かつ特定の遺伝形質に関係すると認められたDNA断片、部位のことを指す。

この技術を現在の遺伝改良に利用することで、
  1. 選抜精度が向上する
  2. 優秀な豚を早期に特定することが可能で改良速度が速くなる
  3. 環境要因による影響を受けにくい、等のメリットがある。

実用化されているものにESR(エストロゲン受容因子)マーカーがある。この遺伝子はエストロゲンホルモンの分泌を促進し繁殖性が向上し、産子数が増加する。この遺伝子を持つ雄を使うことで100腹交配に対して生産頭数25頭の増加が見込まれる。

雌系新ラインの目標離乳頭数は30頭

品種の特性を生かした飛躍的な繁殖成績の改善を目指し、離乳頭数30頭目標を念頭にして、雌系新ラインの開発を進めている。試算によれば、既存雌系品種と比較して年間離乳頭数2.04頭以上の増加が見込まれる。現在、順調にフィールドデータの収集分析を進めている。

上記で述べたBLUP法、遺伝子マーカー、新品種の開発といった多方面の遺伝的な手法を駆使することで、目標を達成するための遺伝的な基礎能力は十分確保することが可能である。それに加えて、その母豚の持つ遺伝的能力を最大限に引き出すような環境、疾病、栄養、飼養管理がコントロールされることにより、遺伝的能力の差、遺伝改良の効果が現実に発揮されることになる。